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日々、気が付いたこと感じたことを気ままに綴っています。
2020.03.22
今回のテーマは「怠け者をいかにさぼれないようにするか」です。
従業員の横領や窃盗という犯罪防止も含めて考えられることなので、怠け者と言うと語弊があるかもしれません。ですが犯罪も仕事をさぼるのも同じ仕組みから防止できるのです。
先日、24時間の接客業を営む社長からこんな相談がありました。
「深夜に、ある従業員がどうもエリアを区切って客を入れないようにしているらしい。また時には注文も断ってるらしい。」
深夜に社長の目がない場所でさぼってると言うのです。
私が「ああ~、ばれないと思ってさぼったんですね」というと
「そうなんですよ!!」
社長が語尾を強めて怒りが伝わってきました。
「なぜさぼるのか、わかりますか?」と聞くと「面倒なんだと思います」と社長。
そう、面倒なんです。できれば楽がしたい。これが従業員の本質だと私は思っています。
全てではないと思いますが、同じ給料もらうなら楽がしたいと思っても自然です。
例えば接客業なら「今日、混まないといいな」と思ったことが1度でもある、というのって普通ですよね。全然特別悪い従業員ではなくても。
でも大概の従業員はさぼりません。まじめに仕事をしています。
ではどうしてこんなことをしてしまうのでしょうか。
普通に働く人は何故ルールやマニュアルに沿って仕事をするのでしょう?
これって実は「当たり前」のようですが違います。
日本人は小さい頃から規則の中で育っています。なので遵法精神が大人になるころにはだいたい「当たり前」についています。
ところがこんな言葉、聞いたことがありませんか?
スピード違反や駐車違反などで警察に切符きられたら、
運が悪かった
そういう方って根っからの悪人でしょうか?
いえ違います。普通に普段隣にいるような方だったりします。
また、
赤信号みんなで渡れば怖くない
本当はダメだと思っても、みんなやってるんだからいいよね?という言葉です。
あれ?遵法精神はどこに行った?
そうなんです。実は心のどこかで誰しも「見つからなかったら規則は守らなくてもいいんじゃないか」「みんながサボるなら自分もやらなくてもいいんじゃないか」
つまり「規則って自分に不利益にならないなら、楽な方がいいから守らなくてもいい」という気持ちになることがあるっていう事です。
これが根底にある心理です。特別悪い人ではなくても。
思い当たる方も大勢いると思います。
え?そんなことはない?
そういう私は時々葛藤しています(笑)なんせ怠け者なので。
では規則を守る気持ちってどういう気持ちからなんでしょう?
通常の場合、職場では人の目があります。社長、上司、同僚、部下……。
実は無意識でお互いを干渉しあっています。
ルールやマニュアル通りに過ごし頑張ると昇進・昇給=賃金UPもあるかもしれません。得をする可能性があるのです。
でもルールやマニュアルを外れたり好き勝手にすれば当然同期よりも昇進や昇給が遅いかもしれません。損をすることになります。
誰でも知らず知らずのうちに「どちらが得か損か」を天秤にかけています。
これは悪いことではありません。赤ちゃんの時から無意識にやっていることですし一般的な人はそうです。
職場なら就業規則でルールを決めた「懲戒」という項目があり、国では法律があり罰則もあります。
それはマナーと違い、守らないと強制的に不利益なことがある、ということを最初から伝えているので、法令を遵守し、守らない人を見るとこれを正すために注意したり報告をしたりします。
さて、先ほどの社長のお話に戻ります。
「バレないと思ったんですね」
「そうなんですよ!!」
彼はバレなければ怠けたいと思ったわけです。バレたらどうなるか知っていても。
「彼をどうしたいと思っていらっしゃいますか?」という私の問いに社長は
「今チーフをさせていたので降格する」
なるほど、降格したら今ある手当がなくなるので彼にとっては収入が減ってしまいます。結果的に見つかったので損をすることになりました。
そもそも彼は、何故ばれないと思ったのでしょうか?
バレると知っていたら、やったのでしょうか?
多分、しなかったと思います。
少し大袈裟なタイトルになりましたが、私の経験を書きます。
ホテルは24時間365日の稼働です。当然深夜もあります。
従業員が極端に少ない時間帯があり金庫には大金が入っているのです。なので支配人になるときの研修で言われたのは、
「従業員を犯罪者にさせないようにするのが会社の責任であり支配人の責任」
人は弱いです。お金に困った時に「スキ」が見えると手を出してしまうかもしれない。
「魔が差す」ということ。これで犯罪者になってしまうのです。
でもしっかり管理されていると知っていて見つかると思ったらやらない。
わざわざ自分が犯罪者になりたいわけではないから。
たった数百万円の現金で従業員を犯罪者にさせないようにするのは私たち会社側の責任です。従業員が大事なら絶対にそうさせないためにも、普段からしっかり管理しましょう。
そう教わりました。私はその言葉を今も忘れません。
日々のお金や物品の管理は面倒でも、普段と少し違っても原因を突き止めることが出来ましたし、その重要性を伝えて指導してきました。
さてまた話が戻ります。
「彼はバレないと思ったんですね」「そうなんですよ!!」のあと、
なぜ分かったのかを社長に聞くと、
偶然クレーム対応をした別の従業員からの報告で知ったとのこと。
忙しくてデータを数か月チェックをしていなかったが、改めて深夜のデータを見ると実際は他の日もやっていたようだった。
データも見せて本人も認めたとのこと。
確かに横領とか物品を私物化するということではないですが、本来上がるはずの売上を故意にしなかったという事で降格も致し方ないかと思います。
しかし「バレない」と思わせたことは社長も反省しました。
そして他の従業員にもそれが伝染してないかを危惧していますが、今後チェックが厳しくなれば防げるだろうと伝えました。
今回は管理を徹底することで今後同様のことを防止することになりましたが、
何かあるごとに厳しくする一方では規則が増え、従業員は息苦しくなります。
そこで私はもう一つ、社長に提案しました。
「管理をしっかりしてデータを取ると、今度は誰が頑張ってるかもわかり易いですね。頑張る方を褒めて、毎月みんなの前で表彰し、少しだけインセンティブ的なものを出すのはどうでしょう?」
社長は「え?」という顔をしましたが、
「なるほど、そうですね。頑張って売り上げている人を褒めたら喜ぶかもしれない」
という事で、就業規則改定等の準備をすることになりました。
規則で厳しくするだけではなく、守りたくなる、頑張る土壌を作れば良いのですから。